ケベックの政治

カナダ連邦とケベックについて

カナダの政治機構の特徴は、立憲君主制・議院内閣制・連邦制の三つの原理の併用にあります。同じ北米大陸であるアメリカ合衆国は共和制・大統領制を採用ですが、ともに旧イギリス植民地であったカナダとアメリカ合衆国の違いは、旧宗主国イギリスとの関係が反映されています。

立憲君主制
カナダの国家元首はイギリス国王であり、総督がその代理を務め、各州には総督が任命する副総督がいて、州レベルでイギリス国王の代理を務めています。
副総督には州会議で可決された法案の批准を保留する権利が与えられているほか、州の首相を罷免する権限がありますが、逆にカナダ連邦の首相により罷免される立場にもあります。この制度の例として有名なのが、1878年にケベックでおきた事件で、当時の副総督であるリュック・ルトゥリエ・ド・サンジャンが州議会の信任厚い州首相シャルル・ブシェビルを罷免し、その翌年マクドナルド連邦政府により副総督の座を追われるということがありました。
実際に副総督が果たす主な役割は行政府の長として社交や儀式を行うことで、「君臨すれども統治せず」の原則を踏襲しています。

議院内閣制
行政府と立法府の権力分立を原点とする大統領制とは異なり、議院内閣制では行政府と立法府が密接に関係しています。
ケベックにおいては立法府として州議会が、行政府として内閣があり、州議会で多数派を形成する政党の党首が内閣を組織します。州議会はケベック州民を直接に代表し、各選挙区から一人ずつ選出されます。州議会の任務は、ケベックが管轄権を持つ範囲での法律を作ることです。現在の議席は定数125に対し自由党48、ケベック民主行動党39、ケベック党36、欠員2となっています。5年ごとに選挙があり、現在の首相はジャン・シャレーですが、総選挙が12月8日に実施される予定です。

連邦制
連邦制とは、連邦政府(中央政府)と連邦構成政府(地方政府)の間で立法権が分立されていて、中央、地方のそれぞれの政府は優劣に関係なく、憲法により与えられた権限の範囲内で主権と自治権を享受している政治制度の事です。
 ケベック州は連邦政府を構成する10州のうちの1州ではありますが、カナダ建国の二民族のひとつであるフランス系住民が多数派を占める唯一の州であるために、実際には他の9州とは異なっていて、ケベックの政治はフランス系カナダとしての民族自決、ケベック州の自治権の拡大を中心に据えており、その時々の政権によってはケベックのカナダ連邦からの分離独立や特別な地位の要求などという形に現れています。

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1960年以降のケベック政治の特徴

1960年州選挙において、それまでの超保守的なユニオン・ナショナル党からジャン・ルサージュ率いる自由党が勝利し、「静かなる革命」とよばれる大改革が行われました。
それ以前のケベックは、農村的、権威主義的、カトリック中心、保守的という社会機構でしたが、この一連の改革で産業・社会・教育・宗教など多くの面で革新的とも言える変化が非常に短期間で起こりました。

そして政治意識の面で、少数派フランス系カナダ人という立場から、自分たちの土地で多数派としての自決権を主張するケベコワ(ケベック人)としてのアイデンティティを持ち始め、カナダ建国の2民族のひとつであるフランス系が自決権をもつように現行のカナダ連邦を改革することを州政府として要求していきました。

1960年にケベック州の政権についたジャン・ルサージュは1887年以降行われていなかった州会議をケベックシティで開き、それ以後州会議は頻繁に開かれるようになり、カナダ連邦を動かす重要なファクターとなっていきました。
 
1960年に続いて1961年シャルロットタウン、1962年ヴィクトリア、1963年ハリファックスの会議で州政府は一貫してオタワ連邦政府に対する州の統一戦線をつくることと、州際諮問機関を創設することを主張しました。この二つの提案は実現はしませんでしたが、1964年には憲法改正に関するフルトン・ファブロー方式が連邦政府によって提案される基となりました。この時の州政府はカナダ連邦における「特別な地位」を要求してきたものの、根本的には連邦主義であり、分離独立を目指していたわけではありませんでした。

 しかし、1966年の州選挙でユニオン・ナショナル党が政権に返り咲き、二民族連邦国家の実現を理念と掲げ、この実現が不可能であるならばカナダ連邦からの独立を図るしかないとの方向性を打ち出しました。この1966年から1970年までのユニオン・ナショナル政権下で、ケベック問題は国際的な色合いを持つようになり、フランスのシャルル・ド・ゴール大統領のモントリオール訪問の際の「自由ケベック万歳!」という叫びは、カナダ連邦政府とフランス政府との間に大きな摩擦を引き起こしました。以来国際的なケベック州の立場はオタワ市政府とケベック政府の間で論争点となってきました。

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ケベック州議事堂内の様子


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